10年目の温故知新② [メディア掲載記事]

釘幅測定器を導入して最初に行うのは全台のスタートを揃えること。

「パチンコは一種のギャンブルですから機械の確率だけに頼ることになります。そのためにも公平な環境作りが求められます。1000円でスタートが平均20回回るとすれば、15回や25回の台があっては不公平感を感じる。まず、心理的不安要因を取り去り、じっくりプレイできるホール環境でなければ集客は図れない」と力説する。

適正粗利についても同じことがいえる。

例えば、ホールは最低3000万円の粗利が必要だといわれているが、それは店側の理由であって、適性かどうかは客の判断に委ねられる。

どんな商売でもいいものを安く売るということが鉄則だろう。この観点からいえば、出玉以前にスタート回数だ。

客は1000円でスタート回数を買っているようなものであるから、バラつきがあってはいけない。未だに「回る台と回らない台を作った方がいい」と反論する経営者もいるが、その考え方は客のニーズには合っていない。

同じリンゴで値段がバラついていたら売れない。それと同じことだ。むしろ競合店調査で他店よりもスタート回数を増やすことが求められる。

さらに、スタートを揃えるためには、統一ゲージに作り直す必要がある。

玉の軌道はネカセの角度があるため、盤面を這うように釘の根元を通過している。

にもかかわらず、釘幅を手前で測っているホールが圧倒的に多い。1/100mmを測定する勘助で測ると根元と手前ではかなりの誤差があることに気づかされる。

板ゲージを使うと根元が狭く、手前が広くなる傾向がある。従って根元で測り根元で揃えていく考え方に改めなければならない。根元を揃えるためにペンチを使う。測った釘幅はコンピュータに送信され、データベース化されていく。

「平均が5.8回のスタートとすれば、中には5.6回や5.3回の台も出てくる。平均で5.8回になってもこれでは駄目です。1台ずつを5.8回に揃える。何ミリの釘幅にすれば、そのスタート回数になるかがデータでわかっているので、その幅にすればスタート回数も出てきます。そのために仕事量はは増えましたが、今までがアバウトすぎた。釘は営業を左右する一番大事な作業。納得してやっているので釘調整が楽しくなった」(黒川部長)とキッパリ。

命釘を揃えた後は、試し打ちによって寄り釘を調整して、スタートの均一化を図る。

これで初めて統一ゲージの完成となる。一度作り上げると後は命釘の調整だけで、希望通りのスタート回数を導きだせる。

ちなみに同ホールでは根元を12:20、スタート6回を統一ゲージとして管理している。

手前で合わせるとスタートはバラバラになるが、根元で調整するとスタート回数が狂わなくなる。

金曜日と日曜日の夜は全台を叩く、という。

つづく

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10年目の温故知新① [メディア掲載記事]

以下の記事は今から10年前、オフィスジャパンを興す前、釘幅管理コンピュータに出会ったころ業界誌に掲載されたものです。 温故知新。10年目の節目として改めて採録します。

ホール経営の難しさの中で、優秀な釘師の確保・育成が困難なことが挙げられる。

中でも多店舗展開の基本はマニュアルを作成し作業を標準化することで、誰がやっても同一レベルの仕事ができなければならない。

接客教育などなら可能だが、こと釘調整に関してはパチンコ業界では“聖域”視されている。

基本的なハンマーの持ち方、釘の叩き方は教えられても、釘調整結果を判定するモノサシ自体がないため、調整技術の評価のしようがないのが現実だ。そのために釘調整の標準化を図ることが困難とされていた。

例えば、ゴルフも道具の進化とともに技術も進化してきた。パチンコ産業はコンピュータ化が一番進んでいるといわれながら、釘調整の分野だけが20年も30年も昔の方法が脈々と受け継がれている。

釘幅とスタート回数をデータで解析、釘調整作業を理論立てて体系化することで、誰でも同じ釘調整ができるようにした釘幅管理コンピュータシステムが開発された。

同システムは、高精度のハイテク測定器を使って、新聞紙1枚分の釘幅を管理する。あいまい不明瞭だった釘調整結果を数値(データ)に残すことにより、釘幅とスタート平均回数の因果関係が明確になった。

つまりパチスロの設定管理のように、釘幅でスタート管理ができるようになった。しかし、ただの釘幅測定かというと、そういう範疇に止まらない。

モノの見方、考え方が変わり、結果が出るので行動までもが変わる。

釘師の育成で悩んでいたホールの問題も解決してしまう。

システム導入によって会社のシステムを大きく変化させるツールである、という。

「ショックでした。釘を叩いて10年になります。板ゲージと玉ゲージでプライドを持って釘調整をやっていましたが、実際に釘幅管理ツールで測ってみると違いがはっきりと数値で表れる。釘幅を揃えたところでパチンコ台はねかせの角度も違えば、役モノも違う。最初はシステムが100%正しいとは思わなかった。しかし、釘調整の目安となる基準が必要なことを痛感したので導入に踏み切りました」と語るのは佐賀「ビッグウェーブ」の黒川福哲部長。

導入から1年以上が経過した。当初は経営管理コンピュータの導入計画を立てていたが、導入ホールを視察して「人材を育てることができる」と判断して釘幅管理システムの導入に踏み切った。

従来の方法では釘調整の指示の仕方は、甘め、辛め、強め、弱めと実にあいまいだった。

そういう指示の方法では個人差があまりにも大きく。結果が同じになることの方がおかしい。加えて調整器具の精度にも問題がある。

これを常に数値で指示するのだから、誰がやっても同じ結果が得られる、というわけだ。

「板ゲージ時代はアバウトでした。12:00の板ゲージで叩けと指示しても、釘幅測定器で測ってみるとスカスカがあったりキツメがあったりバラバラ。釘幅測定器は調整した結果が数字で出るので一目瞭然。言い訳もできません。例えば、12:30で基準を作ってしまえば、後はそれに合わせるだけですから、バラつきもなく部下にも釘を任せられる。管理するほうは楽になりました。今まで釘幅測定器なしで営業していたの営業はできるのでしょうが、こだわりの数字を追求するために、はもはや釘幅測定器なしでは営業できません」と評価する。

取ってはいけないときに取ることも客を逃すロスだが、取るべき時に取らないこともロスである。

つづく



利益作りの本丸は本部にあり⑬最終回 [経営]

主体変容

目的には4観点あります。

目標を実現することでどんな価値がもたらされるのか? 給料が上がる、生活が豊かになる、地位、名誉が上がる。これは目に見える有形の利益です。

その一方で、目に見えない利益もあります。それが心の利益です。やった!という達成感であったり、自信ができたり、勇気がついたりして心の器が大きくなります。

健全な欲求は他者に向かい始め、他者の利益も考えられるようになります。これが健全な目的です。

周りの人たちとの間で無形の利益が生まれます。それが信頼感であったり、人を信用することです。

自分と他者が一つになり、社会と自分が共生することにつながってきます。

その欲求と目的がくっついたとき、初めて心がつきます。そうして心が向かったときに経営改革のルーチンを始めることです。

現実には違和感、ギャップがあります。このギャップが全部問題です。

その現実を享受していると違和感を感じません。

現実に対して違和感、不満だらけだから改革していくわけです。

人間関係を築き上げるために、相手のことをもっと知りたい、親しくなりたい、もっと分かりたい思う気持ちがなければ、違和感が生まれます。

主体変容ということばがあります。

これは自分が変ることで、相手が変るという意味です。自分から相手に近づいて行った分、相手との距離も縮まります。

改革をスピードに乗せるときに、変革に対して障害となる人=目的の価値観が合わない人はプロジェクトから排除しなければなりません。

価値観が一致しなければ心が向かいません。

人間が心を使わない行動では、そこに人間はいません。そういう人の行動は成果をもたらさないからです。



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利益作りの本丸は本部にあり⑫ [経営]

心を動かす「P.D.C.A」

人を動かすために、これまで試行錯誤を重ねてきました。

時にはデータに頼って理性的にやったり、あるときは感情をぶつけたり、と。

人を動かすためには理性と感情の両方が必要になってきますが、まず相手の心をつなぐことです。

そこで、作成したのが人の心を動かす「P.D.C.A」です。

P(心を使い)→D(心を強くする)→C(心を整理する)→A(心を広く、やわらかく)

目標を掲げても心が向かわなかったら、意識も向かいません。

これが欲しいという欲求が生まれると心を使い始めます。心を使い始めると肯定的な思考に変化していきます。

子供が「これが欲しい!」という欲求は理屈を超えたものですから、そこに理性はありません。

しかし、そこに集団がつくと理性が働き始めます。

多くの場合、理性は新しいチャレンジに対して、その手には乗らないと抵抗したり、いかに回避するかに理性が向かい始めます。つまり、人間の欲求を押しとどめるところに理性を使います。

人間の一番のバイタリティーとは何かといえばこの欲求です。

欲求の中にもクオリティーがあります。それが自己実現で、世のため、人のためになりたいという欲求です。社会的使命の欲求は質的にグレードが高いものです。

先に欲求があり、これが目標となる。

質の高い目標にするためには、目的があります。

何のためにこれをやるのか、と問いかけなければなりません。

つづく

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利益作りの本丸は本部にあり⑪ [経営]

職務が人を育てる

会社がうまく改革するには、うまくいく職務があります。社員がその職務をこなすスキルが身についていなかったり、備わっていないのであれば、まずスキルを習得しなければなりません。習得することにより、職務が人を育てるともいわれます。

テクニカルスキルの前に人間的な能力を持っているか。まず、一つ目はヒューマン(人間性)のスキルです。どういうことかというと親密性の能力を持っているか、肯定的な判断をするオープンな心を持っているか、難しいことにチャレンジして成長する意欲を持っているかどうかです。

その次がテクニカルスキルで、本部の人間は専門技術、知識と専門的戦略を立てられるスキルを全部身につけておかなければなりません。そして、最後がリーダーシップで、リーダーとしての意思決定が求められます。

そのリーダーが難しいことの意思決定ができない、ということは難しいことに挑戦していない証拠でもあります。

改革とは難しいことに挑戦することです。やったことのない初めての挑戦です。それに対して「考えさせてください」と躊躇するということは意思決定ができていない。つまり改革もできず、リーダーシップを発揮していない、ということです。

リーダーシップとは人を勇気づけ、難しいことにチャレンジし、現状を絶えず改革して、毎日よりよい現状を作り出していくことです。

改革にチャレンジするのがリーダーシップです。

つづく

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利益作りの本丸は本部にあり⑩ [経営]

人の改革に統一ゲージ

人が本来持っている能力を覚醒させ、そこに命を吹き込む。

「人の改革」こそが、オフィスジャパンの経営改革の本質です。それを分かりやすくするために統一ゲージやひねりゲージを用いています。

統一ゲージやひねりゲージは人の能力を覚醒させないと実現できません。

理性で人の心は動かせません。心を動かすには感性が必要になってきます。

今のパチンコ店は感性を売っているとはいえません。新台というモノを売っているだけです。

感性に満足を与える空間へ持っていくと、そこに何があるか? 

それは非日常空間です。

お金でお金を増やす行為はギャンブルですが、ギャンブル以上のものを感性で提供する。お金を使うことを忘れさせるぐらいの楽しさを詰め込む。

ワクワク、ドキドキ、面白い、楽しい、悔しい、悲しいとすべての感情の集大成がパチンコの中に盛り込まれています。

スーパーリーチが外れると人生に重ね合わせて、悔しがったり、悲しんだり。

お客様が自分の人生の2時間分を1万~2万円使って遊ぼうと思える接客にすると、ゲストとしての迎え方に変わってきます。もはや玉単価などろいう発想は生まれません

お客様が楽しんでいるときに、スランプという不愉快なものは取り除いていかなければなりません。それは技術でできます。

それに基づいたオペレーションの業務ルーチンを作っていく。

それによって、店内コンセプトもお客様を迎え入れる導線も全部でき上がってきます。

そこまでやらないと鉄火場のようなギスギスしたすさんだホールに陥りやすい。

現実のオペレーションの中では、お金を取ったとか、取られたとか、抜いたとかすさんだ言葉が横行しています。

そこには豊かで華やかさがありません。

お金以上のオペレーションに変えていかなければなりません。

つづく

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利益作りの本丸は本部にあり⑨ [経営]

企業活動の目的

企業活動の目的は以下の4つです。

①利益活動(手段、目的)
②企業の永続(本質)
③社会貢献(顧客のニーズを満たす)
④社員の成長(生きがい、働きがい)

この4つのどれが欠けても目的は達成できません。

パチンコ台で遊技してもらうことはあくまでも利益活動です。お客様の利益が顧客接点であるパチンコ台にすべて網羅されているか。そのための仕込みをいかにやったか。

寿司屋は仕込みに8割以上の時間を費やしています。お客様の見えないところで下ごしらえをしっかりやっています。残りの2割の仕事がお客様の前でネタを切って、握って寿司を出すことです。

寿司屋がうろこのついたままのネタをカウンターに出しているでしょうか。

パチンコも本来は釘調整に圧倒的な時間がかかります。それを面倒くさい、手間隙がかかる、覚えるのは嫌、といっている人たちはうろこのついたままのネタをネタケースに出しているのと同じことです。

ネタの仕込み準備ができないままに開店する。だから最終的にコスト高になるわけです。

経営者は人という資源を活用しないで、機械に依存してきました。新台をいかに大量に、いかに早く購入するかの競争をやってきました。

資金調達とたくさん購入するきっぷのよさが、経営の差になっていましたが、これからは人という資源の活用が求められる時代です。

本当に強いホールは、仕込みに十分時間をかけられる人が育っているホールです。

経営資源の中で人の資源が最も重要です。人の活用なしにすべてが資源にはなりえません。モノやカネは主体性を持っていません。モノやカネに命を吹き込めるのは人です。

情報があっても使える人がいないと情報は腐ります。人を活かしたとき初めて、モノもカネも情報も生きてきます。

唯一の資源は人と捉え、人の資源を活用することです。ここに経営思想を置くことです。

1台40万円の機械はモノです。お客様に喜んでもらえる命を機械に吹き込まない限りはただのモノで終わってしまいます。

命を吹き込んでいないから、1~2週間でお客様が飛ぶ現実に直面するわけです。

つづく

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利益作りの本丸は本部にあり⑧ [経営]

仕込みに手を抜くな

お客さまが台に向かって豊かさを享受するためには、機械という製品を遊べる商品に変えなければなりません。

そのためには、見えないところで汗をかき、見えないところで知恵を使わなければなりません。

現実はパチンコ台に座ってもらっていない、ということは準備不足、仕込み不足のままで“製品”を提供しているからです。

食べたらまずい料理を出しているから、(遊技客の減少は)マーケットから突きつけられた当然の結果で、1円や4円の問題以前の話です。

仕込みの準備をしっかりやって、安心、安全、快適を実現する場を提供する、という理念の表現でやっていなかった。

企業ですから利益活動をするのは当たり前ですが、手段であって本質の目的ではありません。

本質はお客様の利益であって、お金を使った以上の満足や楽しみを与えることですが、それがないから利益に反映されていない。

つまり、利益活動と顧客満足が一致しなければなりません。

それができていないから、売り上げは一瞬上がっても継続性がない。

企業は継続的な発展が目的です。お客様の支持、支援に支えられて継続的に発展しなければなりません。

そのための利益活動をやっていないから一瞬で終わってしまうわけです。

その結果、社員の成長と満足も実現できません。

つづく

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