モノから人へシフト――人材活用が企業間の差を開く その1 [メディア掲載記事]

セントラルグループが本部システムを導入した根底には「人」というキーワードが読み取れる。業界のマーケットが縮小する中、ホール企業が生き残るには人材育成が最も重要なポイントとなってくる。そのためにはまず経営者の確固たるビジョンと経営哲学がありきだ。オフィスジャパンの新井博貴社長とセントラルの清水文徳専務にパチンコ業界における人材について語ってもらった。

新井 デフレ経済の閉塞感の中で、右肩上がりの経済を期待するのではなく、年々悪くなる状況を受け入れて、経営環境を経営者がどのように改善、改良していくのか。まず、経営者が覚醒しなければ21世紀のホール経営は始らない。
上昇気流、右肩上がりの中で経営がうまくいっても、それは真の経営者の実力ではない。それを実力と錯覚している経営者は今本当に困っている。その点、清水専務はパチンコバブルを経験されていない。業界が試行錯誤に陥っていた時期に業界へ入られた。

清水 この業界に入って5年目ですが、最大の課題は人材育成だと痛感しています。というのも、パチンコ業界には店長像にしても、スタッフ像にしてもまだ一つの決まったモデルがない。その部分が非常に未知数です。この部分をいかに伸ばすか。逆にいうと今までの釘調整にも限界が見えてきた。どんなに釘の技術が優れていても釘だけで集客するには限界を感じてきました。

新井 確かに釘を叩くという行為、開け閉めだけでは限界がある。その釘を使ったマネジメント。いわゆる管理をすることが重要になってくる。釘幅の管理、スタートの管理、アウトの管理、ベースの管理、というマネジメントの目で釘調整を見ていかないと本当に健全な利益は取れない。ベテランの釘調整の経験者はキャリアはある。その経験を科学的に分析して行動すれば進歩と発展はある。

清水 これからの店長に求められるのは自分にない能力の部下を育てることです。例えば、接客が優れているが機械整備は半人前のスタッフがいたとします。従来の考え方ですべてができて昇格させるのではなく、接客が得意なのであれば、接客を教えるポジションへ登用する。いい部分を伸ばしていく発想が必要ですね。

新井 職能はその人の人間性の開発でもあります。ここをベースに置いたキャリアアッププランを実施することも必要です。その時、哲学を導入することで仕事観が変わってくる。「食うだけのために働く」という考え方から、その仕事が「自分に向いているから」と変わってくる。そうなると仕事が好きになり、自分のやっている仕事に改良や改善を加えてくる。仕事から多くのことを学び始める。仕事が社会に役立っていることも見えてくる。
理想を追及する経営者の後ろ姿を社員は見ています。清水専務のように目標に向かって努力していれば、後を追っかけてくる社員も出てくるので人が育つのも早い。社員が誇りを持って働ける会社とは、お客さんや業界、さらには社会に役立っているかどうかということ。自分の最終ビジョンがこの会社にいたら実現できる、好きな経営者と考え方を共有したい、と思えるようになったらその会社は伸びる。

清水 そうですね。人材育成如何でパチンコ業界はまだまだ変わってくると思います。今は、大型店と弱小店、全国展開型と地域密着型の2極化が進んでいますが、広域展開型で一番悩んでいるのが教育だと感じます。ある程度、地域性は犠牲にして画一的なサービスになっている。地域密着型は地域性を最大限に活かすことによって広域型店に対抗できると思います。

つづく

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